衣更えの時期

衣更えの時期

2019年5月20日 0 by_ 松尾 由紀子
LINEで送る
Pocket

   

ゴールデンウィークも終わり、新緑もより一層濃くなってきました。次第に日差しが強くなってきて、夏日を迎えることも少なくありません。もうタンスの中に半袖を用意しておかないと、という時期になってきました。

さて、みなさんは「衣更え」と聞くと、制服が冬服→夏服、夏服→冬服へ切替を想像されると思います。夏服への切替は6月1日、冬服へ切替は10月1日と大体決まっていて、学校などではその日を境に目に入る光景が一変します。

きものにも同じように衣更えはあります。ただし、制服などとはちょっと違うんです。

きものは大まかに言って三種類のものを季節によって着分けます。10月~5月が裏地が付いている「袷(あわせ)」、6月と9月が裏地が付いていない「単衣(ひとえ)」、7月~8月が「薄物、夏物」となります。

ここでひとつ注意。なぜ「大まかに」と言っているかというと、生地の種類などによって寒い時期に着るものでも裏が付いてない単衣のものもあるから。この話は絹のものをメインとしていると考えてください。

 

左から「袷」、「単衣」、「薄物」のきもの。

 

違いがわかるでしょうか?
裾まわりをアップにしてみました。

 

袷は「胴裏(どううら)」、「八掛(はっかけ)」といわれる裏地が付いているので、めくっても表地の裏が見えません。

 

単衣は裏地が付いてないので、めくると裏がそのまま見えます。間に見える白い布は「居敷あて(いしきあて)」で、背中の下部に付けている補強のための布です。

 

薄物の「紗(しゃ)」のきもので、フローリングが透けて見えています。薄物は、紗や「絽(ろ)」などの透け感のある布で仕立てられています。

 

では、きものってこれらをその季節に合わせて着ればいいなんて楽じゃない? と思うでしょ。
実はそこが悩みどころなんです・・・

というのも、ここ数年、地球温暖化の影響かわからないけど、すでにゴールデンウィークに入るころには袷を着られない気温になるからです。今年はめずらしく、ゴールデンウィークの前半は袷に羽織を着ても全然大丈夫という気温でしたが、例年だともう単衣を着ちゃえ! という感じです。

これは春から夏への時期だけにかかわらず、夏から秋への時期も同じで、10月に入っても残暑が厳しかったりするととてもじゃないけど袷なんか着てらんないよ・・・ と、単衣を着る期間がだんだん長くなっています。

季節感を大事にして暦に合わせたものを着るというのもきものの文化・伝統だとは思いますが、今の時代、季節そのものが昔と変わってきています。

正装をする場などではある程度しきたりを守ることは必要だと思いますが、ふだんにおしゃれとして楽しむのであれば無理に準じなくてもいいと思います。
わたしの場合、気温20度を基準にして考え、それ以下なら袷、以上なら単衣かなぁとしています。
最近では、体感温度で着るものを決めればいいのではという人が大半になってきています。伝統を守るのも大事だけれど、その前に体がおかしくなっては本末転倒です。

自分の体・体調に合わせて、さらに季節感を味わいながらきものを着る。

そんなふうにこれからもきものライフを楽しんでいきたいです。

でも、いちばんたくさん持っている袷のきものを着る期間が短くなっていくのは悲しい・・・
やはり、温暖化は阻止しなくては?!

 

Yukiko_Matsuo 松尾 由紀子 (まつおゆきこ・Yukiko Matsuo ):
写真の勉強をしたにもかかわらず、写真はあくまでも趣味。
写真雑誌や猫雑誌の編集者を経て、今ではフリーで編集の仕事したりなんだり。
もともときものが好きで骨董屋の手伝いをしたりしてしているうちに、なぜか”きもの沼”にどっぷりと浸かる羽目に。
業界関係の集まりにきもので顔を出すと「どこの女将さん? 」、最近は洋服で行くと「今日はどうしたの? 」とまで言われるようになりました。袴姿で三脚を担いだこともあり、パンプスよりも草履のほうが早く走れる(はず!)。

「きもの倶楽部」= https://ameblo.jp/kimonokurabu/

Facebook= https://www.facebook.com/KimonoClubMaruko/

投稿記事リストの表示

 

 
 
LINEで送る
Pocket