写真家の嫉妬

写真家の嫉妬

2019年4月24日 0 by_ 諏訪 光二
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ちょっとキャッチーなタイトルにしてしまいましたが、今回は個人的な嫉妬の話を。
個人のブログのネタにしようかとも思ったのですが、せっかくなので皆さんにも紹介したいとKITTgogoに掲載させて頂きました。

ワタシが作品を創る場合、コンセプトを結構煮詰めます。アーティストステートメントの記事( https://kittgogo.com/2019/01/795/ )にも書きましたが、内容と写真のリンクを考え、事前のネタ帳も作っています。このネタ帳に関してはまたいつか。もちろんこれまでにKITTgogoにも載せたように小難しいことは考えずにフィーリングだけで撮ることもありますが、作品プロジェクトとしてまとめる場合にはそのように撮った写真であっても意味を持たせてプロジェクトに混ぜ込みます。

さて、そんなワタシが長らくテーマとして追いかけてきたのは「時間」。
時間をテーマにするところからネタ作りがスタートし、あれこれ考え、だとしたらこういう撮り方が必要かな、などと多方面から組み立てていきます。もちろんそんな机上論と現実は違って思ったものが構成できないことも多々あります。

最初はベタな手法ですが、多重露光を行って1枚に複数のカットを混ぜて時間を凝縮、とかやってみるんですけれどピンときません。そうやってあれこれやっているうちに「時間」というテーマが漠然としすぎているんだ、そう思うようになってきました。
そこからはもうちょっと絞り込んでいくようになり、上記リンクの記事にも載せた「記憶は嘘をつく」にもたどり着いています。別に「時間」をテーマとすることから逃げたつもりはありませんが、追いつかない制作作業の中、「時間」は頭の隅に追いやられていきました。

ある日、講義を行っている大学の授業で1日だけゲスト講師を招く日があり、そこへ写真家の星野尚彦さんにお越し頂きました。大先輩にあたる方です。
星野さんをワタシが紹介するのもおこがましいのですが、広告のジャンルで活躍されており、最近は動画撮影も行っておられ、ほとんど方がテレビで見たことのあるTV CMの多くを撮影されています。
ここにその映像を載せてしまうとタレントさんの権利関係の問題とかもありますので、星野さんのWebでご覧ください。

HOSHINO★CAMERA/ホシノ★カメラ = http://www.hoshinocamera.com/

 

どうです?メチャクチャクオリティが高いでしょう?
一般の方には分かりにくいかもしれませんが、色の出し方などそれはそれはすごいものがあります。氏曰く、今よりも昔の方が撮影にお金をかけられたから、とバブルの時代も語っておられましたが、お金をかければ誰でもできるというものでもありません。

さて、そんな星野さんに大学では広告業界のことなど、裏話も交えながらいろいろと貴重な話を若い学生さんたちにして頂いたのですが、その中で見せて頂いた作品に頭を叩かれました。見せられた他の人たちも何かを感じたとは思いますが、ワタシにとっては「やられた~!」という感覚でです。その作品は上記の星野さんのWebにもある「point of view」という作品です。

 

文明は進歩し全てが格差に支配される現代でも、唯一万人が等しく享受する「時間」。そしてその一瞬を切り取る事で成立してきた写真。ほんの少しでも時間のうつろいを一枚の中に閉じ込め、時間のキュビズム的な実験をしてみる事にしたのだ。そこには時間という平面的な連続性が立体として可視化されるのではないかと考えた。

「point of view」ステートメントより

 

時間の凝縮、視覚の凝縮がそこにあります。
もちろん手法の面白さもあります。フィルムのスリーブをそのまま重ねる手法で、パーフォレーション(フィルムの穴の部分)まで露光してイメージを定着させています。
でも手法だけでは無いんです。このテーマをこの手法で表現することで成立しているんです。
自分自身が「時間」をテーマにかなりの期間いろいろと試行錯誤した身としては、まさに「やられた~!」なのです。

 

それは落胆ともちょっと違い、難しい数学の問題の答えと解き方を教えてもらった時のようなちょっとスッキリとしたものです。自分には無かった発想に嫉妬もしてしまいます。
いろんな方の写真を見慣れてくると、感動することはあってもなかなか嫉妬するところまではいかないのですが、星野さんのこの作品にワタシは嫉妬しました。

普段はここも含め機材のことをよく表に書いていて すっかりカメラオタク的に見られることの多いワタシですが、この作品を見せて頂いたおかげで心に火がついています。自分の作品作りをさらに進めるべく頑張って参りたいと思います。そんな刺激をくださった星野さんに、感謝です。

星野さんは現在広告のジャンルで活躍されている傍ら、「H2Foto 写真教室」を開いて一般の方に写真を教えることもされています。被写体との向き合い方、光の使い方など、第一線で活躍されている星野さんが初心者の方も含めて教えている講座です。
Facebookに「H2Foto」のページがありますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

「H2Foto」Facebook Page URL = https://www.facebook.com/info.h2foto/

 

(※掲載にあたり画像の掲載許可を頂いております。使用の快諾に感謝いたします)

 

Kohji-Suwa 諏訪 光二 (すわこうじ・Kohji Suwa ):
1968年生まれ。写真家。新しいもの好きアラフィフ男。写真家ではあるけれど、あれこれ新しい事をやってみてはそれも仕事として楽しめるようにあれこれと企画。故に多趣味で散財が激しく破産寸前。千葉県茂原市に在住し、敷地内に森を作って豊かな自然を楽しんでいる。

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